営業代行の導入を検討されている方から、契約前にほぼ必ず聞かれることがあります。
「これ、法的に大丈夫なんでしょうか」
無理もないと思います。介護と医療の世界では、かつて患者紹介ビジネスが社会問題として取り上げられました。その記憶があるぶん、「紹介」という言葉に警戒感を持つ方は今も少なくありません。
先に結論を書きます。営業代行という形態そのものを禁じる法律はありません。ただし「紹介の対価」については、制度ごとにはっきりした禁止規定があります。境目は形態ではなく、お金の流れ方にある。この記事では、何が問題で何が問題でないのかを制度別に整理し、委託先を選ぶときに見るべき点までまとめました。
はじめにお断り
本記事は法令の一般的な考え方を整理したものです。個別の契約内容や運用について法的判断を示すものではありません。実際の判断にあたっては、指定権者(都道府県・市区町村の担当課)や地方厚生局、顧問弁護士にご確認ください。
1. なぜ「違法では?」と心配されるのか
不安の出どころは、だいたい2つに絞られます。
ひとつは、患者紹介ビジネスの記憶です。高齢者向けの住宅に入居者を集めておき、その方々をまとめて特定の医療機関へ紹介して紹介料を受け取る。こうした事業が広がって批判を浴び、関係する規則が整備されました。この経緯を知っている方ほど、営業を外に出すこと自体を紹介ビジネスと結びつけて考えてしまいます。
もうひとつは、「営業」という言葉への抵抗感でしょう。介護保険は公的な給付ですから、事業者が利用者を奪い合うような構図に違和感を覚える。その感覚は理解できます。
ただ、現場を回っている側から言うと、話はむしろ逆です。ケアマネジャーが選択肢を持っていなければ、利用者はその事業所の存在すら知りません。全国を訪問していて毎回のように感じるのは、地域で真面目にやっている事業所ほど知られていないという現実です。自分たちの特徴を正確に伝える行為は、利用者が選べる幅を広げることでもあります。
2. 結論|禁じられているのは形態ではなく「対価」
自事業所のサービス内容や空き状況を地域の関係機関に伝える。その訪問活動を月額で外部に委託する。訪問先のリストを作ってもらい、資料を配ってもらい、結果の報告を受ける。ここまでは通常の業務委託契約の範囲におさまります。
問題になるのはその先です。ケアマネジャーや相談支援専門員に、紹介の見返りとして金品を渡す。利用者1名あたりの成功報酬を関係機関に支払う。間に会社を挟んで、実質的に対価が渡る仕組みを組む。これらは明確にアウトです。
境目は「誰に」「何に対して」払っているか、この一点に尽きます。訪問という活動に対して委託先へ月額を払うのと、紹介という結果に対して関係機関へ対価を払うのとでは、まったく別の話になります。
3. 制度別に見る、紹介の対価の禁止規定
| 制度 | 根拠となる基準・規則 | 禁止されていること |
|---|---|---|
| 介護保険 | 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 | 居宅介護支援事業者とその従業者が、利用者に特定の事業者のサービスを利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を収受すること |
| 障害福祉 | 指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準 ほか | 相談支援事業者とその従業者が、上記と同様の対償を収受すること |
| 医療 | 保険医療機関及び保険医療養担当規則 | 保険医療機関が、患者を紹介する者への金品の提供など、健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある行為で患者の誘引を図ること |
| 調剤 | 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則 | 保険薬局が、保険医療機関等への金品の提供などで患者の誘引を図ること |
介護保険と障害福祉の規定には、共通する特徴があります。禁じられているのはケアマネジャーや相談支援専門員が受け取ること。主語が受け手側なんです。受け取ることが禁じられている以上、渡す側もやってはいけません。
現場でよく迷うのが菓子折りの扱いでしょう。ここは線引きが難しい。ただ、紹介の見返りという位置づけになった瞬間に問題になると考えておけば、大きく外すことはありません。迷うなら指定権者に聞くのが確実です。実際、自治体によって温度感はかなり違います。
自社のやり方が適切か、確認したい方へ
Motherは2013年から介護・障がい福祉・在宅医療に特化して営業代行を行っています。
契約形態や活動内容について、率直にご説明します。
受付時間:平日 9:00〜17:00 / 相談・お見積りは無料です
4. 営業代行と紹介業は何が違うのか
先に誤解を解いておきます。紹介業そのものは違法ではありません。有料老人ホームの紹介事業者は全国に数多くあり、成約時に手数料が発生する仕組みが直ちに問題になるわけでもない。
違いは、支払いの性質です。
| 比較項目 | 営業代行(業務委託) | 紹介業(成功報酬型) |
|---|---|---|
| 何に対して払うか | 訪問という活動 | 成約という結果 |
| 報酬の形 | 月額固定 | 成約1件ごとの手数料 |
| 払う相手 | 受託事業者 | 紹介事業者 |
| 件数が増えたとき | 費用は変わらない | 費用も増える |
| 自社に残るもの | 関係機関との人脈と訪問記録 | 残りにくい |
| 利用先を決める人 | ケアマネ・相談支援専門員・本人 | 紹介事業者が候補を提示 |
正直に言えば、どちらを使うかは経営判断です。空室が続いている局面で紹介センターを使うのは、現実的な選択でもあります。ただ契約内容だけは確認してください。公的な計画作成者へ対価が渡る形になっていないか。ここは譲れない線です。
5. 業務委託と労働者派遣の違い
契約形態の話もしておきます。両者を分けるのは、指揮命令が誰にあるかという点です。
| 比較項目 | 業務委託 | 労働者派遣 |
|---|---|---|
| 指揮命令 | 受託者が自らの責任で業務を遂行 | 派遣先が直接指示を出す |
| 必要な許可 | 不要 | 労働者派遣事業の許可が必要 |
| 依頼できる内容 | 成果・業務の範囲を契約で定める | 個別の作業指示が可能 |
危ないのは、契約書は業務委託なのに実態が伴っていないケースです。委託先のスタッフに日々の訪問先や訪問順序を直接指示する。自社の朝礼に参加させる。勤務時間を管理する。ここまで来ると偽装請負と判断されるおそれが出てきます。
専属スタッフが自社の名刺を使って動くタイプのサービスでは、この線引きが特に効いてきます。MotherのMother Premiumも業務委託契約であり、派遣契約ではありません。取り扱いの詳細は重要事項説明に記載しています。
6. 委託先を選ぶときの5つのチェックポイント
報酬体系は月額固定か、成功報酬か
成功報酬型なら、その対価が最終的に誰へ渡るのかを確認してください。受託事業者への報酬であれば問題になりにくい。ただ、実質的に関係機関へ流れる仕組みになっているなら、見直しが必要です。
契約形態は業務委託か、派遣か
業務委託なら、日々の作業指示は行いません。ここは契約書の文言だけでなく、社内の運用も揃えておく必要があります。管理者が親切心から細かく指示を出してしまい、実態が崩れる。よくある話です。
訪問先で何を伝えるかを把握しているか
委託先が不適切な説明をした場合、傷つくのは自事業所の信用です。配布資料の内容、伝える範囲、伝えてはいけないこと。この3つは開始前にすり合わせてください。
訪問記録が残るか
いつ、どこへ行き、誰に会い、どんな反応だったか。記録が残らない委託は、活動の実態を確認できません。委託期間が終わったときに、自社には何も残らないことになります。
業界の制度を理解しているか
一般的な営業代行会社に頼むと、介護保険や障害福祉の制度、医療広告ガイドラインやあはき法の広告制限を知らないまま資料を作ってしまうことがあります。訪問歯科や訪問マッサージでは、表現ひとつが規制に触れかねません。制度上の制約を分かっている委託先かどうかは、必ず確認してください。
7. ケアマネジャーは営業代行をどう見ているか
法令とは別に、実務上どう受け止められるかも気になるところだと思います。
Motherは2013年から、のべ78,000件を超える訪問を重ねてきました。そのなかで「自分で回るものではないのか」と言われたのは、1、2件です。7万件を超える訪問に対して、その数でした。指摘を受けたときも、クライアントがMotherを使っている事情を説明すれば、たいてい理解していただけています。
実際のところ、ケアマネジャーが困るのは代行かどうかではありません。月初の給付管理で手一杯な時期に来られること。10分も20分も話し込まれること。担当している方に関係のない話をされること。この3つです。
裏返せば、担当利用者に合う情報を短く持ってくるなら、持ってきたのが誰かは大きな問題になっていない。少なくとも、7万件を回った実感としてはそうです。
8. Motherの立ち位置
誤解を避けるため、Motherがどういうサービスなのかを明記しておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 契約形態 | 業務委託契約(労働者派遣契約ではありません) |
| 報酬 | 月額固定。88,000円(税込)〜 |
| 成功報酬 | いただきません。何件決まっても費用は変わりません |
| 紹介料 | ケアマネジャー・相談支援専門員・MSW等へ一切支払いません |
| 活動内容 | 関係機関への定期訪問、資料配布とPR、訪問履歴の作成・提出 |
Motherは紹介事業者ではありません。貴事業所の営業活動を代行する業務委託です。どこを利用するかを決めるのは、ケアマネジャーであり、相談支援専門員であり、ご本人とご家族です。私たちが届けているのは判断材料であって、決定に関与する立場にはありません。
契約内容について、率直にご説明します
不安な点があれば、契約前にすべてお聞かせください。
ご納得いただけない場合、無理にお勧めすることはありません。
受付時間:平日 9:00〜17:00 / お電話 03-6672-2063
9. よくある質問
営業代行を使うこと自体が法令違反になりますか?
自社のサービスを地域の関係機関へ知らせる活動は、正当な事業活動です。それを外部へ委託することを一律に禁じる法律はありません。問題になるのは営業代行という形態ではなく、紹介の見返りとして金品が動く場合です。月額固定で訪問という活動そのものを委託する形であれば、通常の業務委託契約として扱われます。
ケアマネジャーに謝礼を渡すのはなぜいけないのですか?
介護保険の運営基準で、居宅介護支援事業者とその従業者が、利用者に特定の事業者のサービスを利用させることの対償として金品その他の財産上の利益を収受することが禁じられているためです。受け取る側が禁じられている以上、渡す側も行うべきではありません。障害福祉の相談支援事業者にも同様の規定があります。
老人ホーム紹介センターを使うのは違法ですか?
違法ではありません。有料老人ホームの紹介事業は全国に数多くあり、成約時に手数料が発生する仕組み自体が問題になるわけではありません。ただし契約内容は確認してください。ケアマネジャーや相談支援専門員といった公的な計画作成者へ、実質的に対価が渡る形になっていないかどうかが分かれ目です。
営業代行が回ることを、ケアマネジャーは嫌がりませんか?
Motherはのべ78,000件を超える訪問を重ねてきましたが、「自分で回るものではないのか」と言われたのは1、2件です。その際もクライアントがMotherを使っている事情を説明すると、理解していただけました。ケアマネジャーが困るのは代行かどうかではなく、月初の繁忙期に来られること、長く話し込まれること、担当している方に関係のない話をされることです。
業務委託と労働者派遣は何が違うのですか?
指揮命令の所在が違います。労働者派遣では派遣先がスタッフに直接指示を出しますが、業務委託では受託者が自らの責任で業務を進めます。契約書が業務委託でも、実態として日々の作業を指示していれば偽装請負と判断されるおそれがあります。Motherのサービスは業務委託契約であり、派遣契約ではありません。
判断に迷ったときはどこに確認すればよいですか?
介護保険と障害福祉サービスについては、指定権者である都道府県または市区町村の担当課です。保険医療機関や保険薬局に関わる事項は地方厚生局が窓口になります。個別の契約内容や運用については、これらの窓口か顧問弁護士にご確認ください。自治体によって判断の温度差はあります。

